1975年、自動倉庫専用のコンピューターシステム「MAICOS(Murata Automatic Information and Control System)」を開発。クレーンの制御と在庫管理を兼用するシステムで、在庫管理用端末のマイコン制御コンピューターとOSは自社製だった。まだ世の中はWindowsなどの汎用OSが開発される前で、コンピューターメーカーが競って独自方式のコンピューターを開発していた時代。機械メーカーがマイコンを内製するのは稀なケースであった。
その後、コンピューターが急速に発展し、自動倉庫の制御は大型システムではミニコン、小型システムではパソコンのソフトウェアとして開発された。工場や倉庫の管理・運用面での自動化・システム化のニーズが高まる中、1987年にソフトウェア開発専門会社のムラタシステムが設立され、現在の形に継承された倉庫管理システム(WMS)が、村田機械の物流システムの強みとなっている。
1980年代後半をピークとしてその後はケース自動倉庫クレーンの能力向上が進み、ケース自動倉庫やコンベア・ソーターを組み合わせた大型システムが主流となってバケットランナーは1995年に生産終了した。
後世になって、物流センターでの人手不足を受けGoods to Person(GTP)ソリューションがマテハンシステム開発の課題となったが、バケットランナーは時代に先駆けていち早くGTPを実現した機器開発だったといえる。バケットランナーの制御システムでチャレンジした順列出庫やトレーサビリティなどのノウハウは現在でも活用されている。