第41期

平田彩子さん

米国 カリフォルニア大学バークレー校
(東京大学大学院 法学政治学研究科 法社会学専攻 助教)
2011年8月~2012年8月

私は2010年より、カリフォルニア大学バークレー校、法学と社会政策プログラムに、Ph.D.の学生として在籍している。このPh.D.プログラムはロースクールに所属しているものの、法に関わる社会問題・社会現象を、社会学や政治学、哲学、経済学、歴史学など、様々な社会科学分野の視点から、理論的・経験的に研究する、という極めて学際的なフォーカスを持ったプログラムである。私は今年で三年目、ようやくQualifying Examが残り一つとなり、今学期終了後にPh.D. candidateになれるよう準備中である。

アメリカでの大学院生としての生活は、過ごした時間が経てば経つほど、面白く、また精神的に楽になってきているような気がする。ディスカッションと大量のリーディングがゼミの中心で、またプログラムのほぼ全員がアメリカ人であるこの環境の中で、帰国子女でもない外国人が一学生として戦っていかなければならないのは、最初はかなり辛いものがあった。下手な英語からの自己嫌悪と毎日の生活を送るので精一杯だった一年目、だんだんと慣れてきつつも、TAの仕事量と自分自身の勉強のバランスを取るのが難しかった二年目を過ぎると、今年三年目は、以前に比べて、自分の勉強に集中でき、バークレーの充実した学問環境を享受し、また自分に過度な期待をかけることもなくありのままの自分を受け止められるようになった。“I’m not supposed to be here” という自己否定からだんだんと抜け出せている気がする。

留学一年目から常に感じていることは、大学院教育が充実しており、学問はやはり楽しいと思わせてくれるここでの生活は、素晴らしく、そしてありがたいということである。幸運にも、素敵な友人やアドバイザー、優秀なクラスメートにも恵まれている。

また、カリフォルニアの豊かな自然に触れているうち、いつのまにか私はかなりのアウトドア派になっていた。まとまった時間ができれば、すぐにハイキングとキャンプに出かけている。大学街・バークレーから離れ、海岸沿いやシエラネバダの山の中にいるのは、とても心地が良い。辛いこともあるが、それも含め、このような生活を送ることができているのは、幸運そのものであり、感謝の気持ちでいっぱいである。

村田海外留学奨学会の皆様は、私のわがままな要望にも優しく、フレキシブルに対応してくださいましたし、メールのやりとりでは、いつも温かいお言葉を頂き、励まされました。この場を借りて心よりお礼を申し上げます。今後とも、村田海外留学奨学会のこの素晴らしいサポートを受け、一人でも多くの日本人研究者が海外で貴重な経験を積み、切瑳琢磨し、日本そして世界の研究の発展に貢献することを願ってやみません。