トップメッセージ

村田機械株式会社 代表取締役社長 村田大介

私たちは、さまざまな産業において、お客様の価値創造をお手伝いするマシンをつくっています。「機械にできることは機械に任せ、人は人にしかできない仕事をする」ための、人にやさしいテクノロジーを追求してきました。現場の課題に取り組む日々の努力と、新しい技術への挑戦の両面から、お客様、そしてその先にある社会の豊かさを実現することが、私たち村田機械の社会的責任であると考えています。

2022年には「つながりを形に・形をつながりに」をテーマとする新 3 カ年計画がスタートしました。これまで追求してきた人・技術・事業の「つながり」を活かして、(1)強い製品やサービス、(2)未来の製造業に必要な情報インフラ (DX)、そして(3)組織の成長と多様化の中での社風の維持・改善を目指します。

(3)の一環として、2023年4月に「革新の分岐点」というコーポレートスローガンを定めました。企業理念にある「新しい技術」や製品・サービスの「提供」の本質を、直感的に表した言葉です。

スローガンをつくるに際しては、「私たちは何をする会社なのか?」という根本的な問いについて社内で議論を重ねました。お客様のビジネスにとって重要な設備を納める者として、顧客志向や品質重視、またそれらを実現する長期的な視点や社内の風通しなど、さまざまな要素が挙げられました。どれも私たちにとって極めて大切な事柄です。しかし、あえてこの言葉を選んだ背景には、私たちが今存在できている理由、当社を支える事業の原点を、改めて思い起こそうという強い思いがありました。当社を取り巻く環境に限らず、社会全体が一つの分岐点に差しかかりつつあるという共通認識もあったと思います。

人類の増加と生活水準の向上は技術がもたらした賜物です。一番大切な食べ物ひとつとっても、20世紀初頭に窒素を固定する新技術が開発されなければ、これだけの人口を支える食料はつくれなかったでしょう。さまざまな技術革新の結果として累積してきた温室効果ガスの増加をはじめとする環境問題や資源問題を解決することが、サステナビリティの核心です。そして、減らさず・落とさずにそれを何とか実現していく手段もまた技術。

私たちにできることは小さくても、後から振り返れば大きな分岐点となるような技術を創造していきたい。そうした願いがこの言葉にこもっているのです。

村田機械株式会社 代表取締役社長
村田大介

本内容はサステナビリティレポート 2023より抜粋しています。