近年、搬送システムは生産ラインや物流において重要な役割を担っていますが、一部のトラブルが全体の性能に与える影響を定量的に把握することは容易ではありません。
従来は、レイアウト設計や制御ロジックの評価において、平常時の性能を基準とすることが多く、トラブル発生時の影響度や回復力を考慮した設計指標は十分に整備されていませんでした。
この課題を解決するため、搬送システムの「レジリエンス」を評価する技術が求められています。
本技術では、搬送レイアウトを「交差点(ノード)」と「搬送経路(エッジ)」のつながりとして表現し、全体を一つのネットワーク構造として扱います。
このネットワーク上に実際の搬送パターンを重ねることで、どの交差点が多くの搬送経路を受け持っているのかを分析します。
レジリエンスの設計指標としては、経路の集中度合いを示す指標を用い、ある交差点が停止した場合にシステム全体へどの程度影響を及ぼすかを評価します。
これにより、平常時およびトラブル発生時にボトルネックとなりやすい箇所を可視化できます。
一方、性能評価指標では、搬送シミュレーションを用いて特定のノードや経路を動的に閉鎖し、その際の搬送性能の時間変化を解析します。
搬送達成数や処理能力の低下度合い、ならびに回復までに要する時間を算出することで、トラブル発生時の影響度を定量的に評価できます。
これらの結果をもとに、レイアウトや制御ロジックを相対的に比較することが可能となります。

この評価技術は、レイアウト設計段階でボトルネックを把握し、冗長性を高めるための指針として活用できます。
また、性能評価指標を用いることで、制御ロジックの改善や搬送システムの回復力向上に寄与します。
今後は、スマートファクトリーや複雑な搬送ネットワークにおける設計最適化に適用されることが期待されており、
より信頼性の高い搬送システムの構築に向けた有効な手段となる可能性があります。